農林水産省は、第1次産業の新たな振興策として、インバウンド(外国人観光客等)需要などの取り込みを視野に入れた「里業、森業、海業」の推進に取り組む。同省が設置していた「地方みらい共創研究会」(座長=滝波宏文・農林水産副大臣)が国内外の現地視察や有識者ヒアリングなどを交えて検討した成果を「地方みらい共創戦略」としてとりまとめ、5月29日に公表した。同戦略の骨子は、政府が6月13日に閣議決定した「骨太の方針2025」や「地方創生2.0基本構想」に反映されており、来年度(2026年度)予算などを活用して実行する段階に入る。
「地方みらい共創戦略」策定、実現を目指す
「地方みらい共創戦略」では、グローバルとローカルをつなぐグローカル成長の視点を踏まえ、農林水産業との関わりが少なかった企業等との「かけ算(新結合)」などを進めてイノベーションを創出することを目的に掲げ、里業、森業、海業など7つの分野に施策を分けて推進する方向性を示した。

森業については、森林サービス産業や企業の森林づくり活動、森林由来J-クレジットの売買などを強化・促進することにしており、国や関係団体などは、総合窓口の設置や健康経営に及ぼす効果のエビデンス普及などを通じて取り組みを支援することにしている。
同戦略全体の進捗管理などは、農林水産省の大臣官房政策課が担当し、各地に「農林水産地方創生センター(仮称)」を設置して、企業等とのマッチングなどを進める。参画企業の“やる気”を引き出すために表彰制度なども設けることにしている。
(2025年6月13日取材)
(トップ画像=里業、森業、海業の位置関係)

『林政ニュース』編集部
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