自民党林政対策委員会の田野瀬太道委員長らは、6月3日に農林水産省を訪れ、「森林資源による循環経済の実現に向けた提言」を小泉進次郎農相に手渡した。来年度(2026年度)予算要求を睨んで現行の施策や事業を「集中対策パッケージ」として括り直し、所要額の確保を目指すべきとしている。
自民党の林政関係議員が予算獲得に向けた提言をまとめた背景には、森林・林業・木材産業の存在意義を改めて広く訴えることが迫られている現下の状況がある。
農林水産省はコメの不足と高騰問題への対応に追われており、来年度予算などを使って抜本的な対策を打ち出すことが最優先の課題になっている。そのあおりが林野関係予算に及ぶことが懸念されており、「集中対策パッケージ」に重点課題などを一括して盛り込み、取り組みの強化を関係方面に働きかけることにした。
「集中対策パッケージ」は、現状認識として、担い手の減少や住宅需要の減退、山地災害の激甚化・多発化などが進行しており、「今まさに手を打たなければ手遅れとなる状況」にあるとの危機感を表明。その上で、「我が国の森林・林業・木材産業については、これまでにない構造転換を図ることが喫緊の課題」であるとし、①循環利用を担う者への森林の集積・集約化の加速、②新たな木材需要の創出と付加価値の向上、③災害に強い森林づくりに向けた国土強靱化対策の加速的な実施、④花粉発生源対策の着実な実施、⑤森林環境譲与税の一層の有効活用──の5つの柱を立てて、各種の施策や事業を推進すべきとしている。
(2025年6月3日取材)
(トップ画像=「集中対策パッケージ」の概要)

『林政ニュース』編集部
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