改正森林経営管理法・森林法が可決・成立

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改正森林経営管理法・森林法が可決・成立

林野庁が今国会に提出していた森林経営管理法及び森林法の一部改正案が今日(5月23日)の参議院本会議で賛成多数で可決され、成立した。森林の集積・集約化を進める「新たな仕組み」の創設などを盛り込んでおり、来年(2026年)4月1日に施行する予定。

集積・集約化の促進を目指し来年(2026年)4月施行

2019年に施行された森林経営管理法が改正されたのは初めて。同法に基づき、市町村が主体となって未整備森林(私有人工林)の解消に取り組んできたが、林業経営体への森林の集積・集約化が低位にとどまっているため、「新たな仕組み」を通じてテコ入れを図ることにした。

法改正後は、市町村が「集約化構想」を策定すれば、「集積配分一括計画」をつくれるようになり、手続きが簡略化されて、林業経営体への権利移転などを迅速化できる。

また、市町村の事務負担等を軽減するため、特定非営利活動法人などを「経営管理支援法人」に指定できるようにするほか、共有林の経営管理権設定に関する同意要件を緩和し、所有者不明森林等を対象にして経営管理権を設定する際の公告期間を短縮する。

森林法の改正では、太陽光発電事業に関わる林地開発許可違反を防ぐため、違反者への罰則規定(3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金)を新設する。

国会審議では、森林づくりを担う林業経営体の育成や、専門的な人材が不足している市町村の支援強化、全国ベースで約4割にとどまっている再造林率の引き上げなどが重点課題として議論され、法改正の成果を着実に出していくことが必要とされた。れいわ新撰組と日本共産党は、集積・集約化の促進が小規模森林所有者の切り捨てになるなどとして、法改正に反対した。

なお、林野庁は、法改正に伴うKPI(重要業績評価指標)として、私有人工林(約600万ha)のうち集積・集約化された面積の割合を2023年度の約4割(約268万ha)から2030年度には約5割(約320万ha)に引き上げる目標を設定している。

(2025年5月23日取材)

『林政ニュース』編集部

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